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コンサルタントコラム

杉本 博文

2024.03.03
エンゲル係数が2000年以降で最高


総務省によると2人以上の世帯で消費支出に占める食費の割合(エンゲル係数)は
2023年に27.8%に達し、いまの基準で遡れる2000年以降で最高だったとのことです。

エンゲル係数は、家計の消費支出に占める食費の割合を示す指標です。
具体的には、食費が家計のどれだけの部分を占めているかをパーセントで表します。

食費は食料品だけでなく、外食も含まれます。
日常生活において必要不可欠な支出であるため、
エンゲル係数が小さい方が生活にゆとりがあるとされています。

エンゲル係数の計算方法は次の通りです:

エンゲル係数(%) = 食費 ÷ 消費支出 × 100

ここで、「消費支出」は生活費にあたり、
食費のほかに住居費、光熱・水道費、被服費、交通・通信費、教育費、教養娯楽費などが含まれます。
貯金や税金、ローンの返済、生命保険・社会保険などは含まれません。

一般的に、エンゲル係数が高いほど生活水準が低いとされています。
これは、食費の支出が不可欠で削減が難しいものであり、
所得が低い層では食費が生活費の大きな割合を占めてしまうと考えられるためです。
所得が高くなれば外食や食材にかける金額が上がり、
食費以外の支出の金額も増えるため、エンゲル係数は小さくなる傾向があります。


エンゲル係数の上昇は、家計で食費の割合が高まり、
それ以外にお金を回しにくくなっていることを示します。

新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年にもエンゲル係数が上昇していますが、
このときは旅行などの支出が大幅に減ったことが要因でした。

その後、行動制限の緩和でエンゲル係数は低下に転じていますが、
2023年に再び大きく上昇しています。

エンゲル係数が上昇する要因は

物価上昇
  食品や生活必需品の価格が上昇すると、
  食費の割合が増加します。
  特に食料品の価格が高騰すると、エンゲル係数は上昇します。

外食の増加
  外食やテイクアウトの頻度が高まると、食費の割合が増えます。
  外食は通常家庭での料理よりも高額であるため、
  エンゲル係数が上昇する要因となります。

食生活の変化
  食事の内容や嗜好が変わると、食費の割合も変動します。
  例えば、高カロリーの加工食品や外国料理を好む人は、
  食費が増加する可能性があります。

家族構成の変化
  家族の人数や構成が変わると、食費の割合も変動します。
  子供の数が増えると、食費が増加することが一般的です。

などがあります。

エンゲル係数は、所得水準と食費の割合を示す指標で、

所得水準の把握 
  エンゲル係数を計算して、食費の割合が所得に対してどれくらい占めているかを確認します。
  これにより、家計の所得水準を把握する手助けとなります。

生活水準の評価
  食費の割合が確認できると、生活水準について確認することができます。
  また社会や地域の経済的状態を理解するのに役立ちます。

家計の健全性の判断
  エンゲル係数だけでなく、全体の支出との関連性を考慮して、
  家計の健全性を判断することができます。

など確認していくのに活用されます。


ご家庭によりエンゲル係数は変わります。
消費支出の価値観によりエンゲル係数が高くなるご家庭もあると思います。
エンゲル係数が高いことが問題なのではなく
生活の変化、家計の変化により、
いつもよりエンゲル係数が高くなっている場合が問題となります。

このような生活の変化、家計の変化をより正確に把握し
対処していくことが重要です。

家計全体の収支やライフスタイルと組み合わせて総合的な評価を行うには
年に一度の家計決算をすることが効果的ですので
継続して家計決算をしていきましょう。

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