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コンサルタントコラム

中西 亮太

2026.10.14
金利のある時代の対応 奨学金


住宅ローンや自動車ローン、預金金利など、私たちの暮らしにも影響が広がっている金利上昇。その影響は、大学などへの進学時に利用する奨学金にも及んでいます。大学進学には、入学金や授業料だけでなく、通学費や生活費、教材費など、さまざまなお金が必要になります。その費用を準備する方法の一つが、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。

なかでも、貸与型の「第二種奨学金」は、在学中に利子はかかりませんが、貸与終了時に決まる利率に応じて、卒業後に元金と利子を返還する仕組みです。では、最近の金利上昇によって、どのような変化が起きているのでしょうか。

JASSOの公表データを見ると、第二種奨学金の基本月額に対する貸与利率は、2025年3月には利率固定方式が年1.641%、利率見直し方式が年1.1%でした。それが2026年9月には、利率固定方式が年3.0%、利率見直し方式が年2.4%となっています。

わずか1年半ほどの間に、どちらの方式も利率が上昇していることが分かります。

ここで知っておきたいのが、第二種奨学金には「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2つがあるということです。

利率固定方式は、貸与終了時に決まった利率が返還完了まで変わりません。一方、利率見直し方式は、利率が見直される仕組みです。

固定方式は返還中の利率が変わらないため、返還計画を立てやすいという特徴があります。見直し方式は、将来の金利が下がれば返還負担が軽くなる可能性がある一方、利率見直し方式は、おおむね5年ごとに利率が見直される仕組みです。

現在の利率だけを比べて、どちらが有利かを決められるわけではありません。それぞれの仕組みを理解したうえで選ぶことが大切です。

金利上昇は、これから大学に進学する人だけの問題ではありません。

例えば、2026年3月に貸与を終了した場合、基本月額の利率固定方式は年2.423%でした。2025年3月の年1.641%と比べても、上昇していることが分かります。

第二種奨学金の利率は、原則として貸与終了時に決まります。そのため、入学したときや在学中に想定していた金利と、卒業時に適用される金利が異なることもあります。

進学時には、毎月いくら借りられるかに目が向きがちです。しかし、卒業後に奨学金の返還が始まることも、忘れてはいけないポイントです。

予約採用で奨学金を申し込む際には、利率固定方式と利率見直し方式のどちらかを選択します。

ただし、最初に選んだ方式を、貸与終了前に変更できる機会もあります。進学時に提出する「進学届」で変更できるほか、貸与中も所定の期限内であれば変更が可能です。

一方、貸与終了後は変更できません。変更できる時期や手続きには条件があるため、JASSOの案内を確認しておくことが大切です。

金利が上昇している局面では、固定方式と見直し方式の利率差が気になる方もいるでしょう。

しかし、現在の利率だけで判断するのではなく、将来の金利変動による影響も理解しておきたいところです。

奨学金を申し込むときに選択して終わりにするのではなく、進学時や在学中にも制度の内容を確認し、必要に応じて選択を見直すこと。それも、卒業後の返還負担を考えるうえで大切な準備の一つです。

奨学金を利用する際、考えておきたいのは金利だけではありません。

卒業後、どのくらいの収入が見込まれるのか。毎月の返還額は、家賃や食費などの生活費と両立できるのか。結婚や住宅取得、子育てなど、将来実現したいことに必要なお金を準備できるのか。親がサポートを行うのか。

返済のプランを立てておくことが最も重要です。

金利の動向によって、将来の返還負担が変わる可能性もあります。だからこそ、奨学金を活用する際には、借りられる金額だけで判断するのではなく、金利の動向も踏まえたライフプランを構築しておきたいものです。

もちろん、将来の金利や収入を正確に予測することはできません。大切なのは、現時点でできる限りの見通しを立て、環境の変化に応じて計画を見直していくことです。

そして、ライフプランは一度作れば終わりというものではありません。

進学時に立てた計画も、実際に生活が始まれば、想定していた収入や支出と異なることがあります。物価の上昇や金利の変化、就職後の収入など、家計を取り巻く環境も変わっていきます。

そこで大切にしたいのが、毎年の「家計決算」です。

1年間の収入と支出を振り返り、どれだけ貯蓄できたのか、生活費にどのくらいかかったのか、今後の返還に無理がないかを確認する。そして、当初のライフプランと照らし合わせ、必要に応じてP・D・C・Aサイクルを回していく。

これは、奨学金を借りる家庭だけに限った話ではありません。しかし、卒業後に返還という長期的な負担を抱える可能性があるからこそ、家計の現状を把握し、定期的に見直すことには大きな意味があります。(見直しと言っても変えるということだけではありません)

奨学金は、学びたい気持ちを支え、進学の可能性を広げる大切な制度です。利用すること自体を必要以上に恐れるのではなく、制度を正しく理解し、将来の暮らしを見据えて活用することが大切です。

進学にかかるお金は、大学に入学するまでの資金だけで考えるものではありません。借りる前からライフプランを立て、借りた後も毎年の家計決算を通じて確認し、必要に応じて見直していく。

「いくら借りられるか」だけでなく、「卒業後に無理なく返していけるか」。

金利が上昇している今だからこそ、将来の暮らしまで見据えた資金計画が必要ですね。

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