コンサルタントコラム
2024.11.19
相続土地国庫帰属制度について
相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって土地を取得した人が、
一定の要件を満たす場合に、その土地を国が引き取る制度です。
(令和5年4月27日開始)
相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、
「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」
といった理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。
近年、相続した土地を有効活用できないまま放置されるケースが増加しており、
これが「所有者不明土地」問題の一因となっていました。
所有者不明土地は、土地の利用や開発を困難にするだけでなく、
防災やインフラ整備にも支障をきたす社会問題として深刻化していました。
このような問題に対処するため、
相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって
土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、
土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする
「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
制度のポイントは
①相続又は相続人への遺贈により手に入れた土地について、所有者の申請により、
承認された場合は、土地を国に引き渡すことができます。
②制度の利用には、審査手数料及び負担金の納付が必要です。
③国が引き取ることができる土地について、一定の要件があります。
④申請先は、土地の所在する法務局の本局です。
国庫帰属までの流れは
①事前相談
対面又は電話での相談は、予約制で、具体的な相談を受けられます。
まずは所在する土地を管轄する法務局(本局)で相談の予約をします。
国に引き渡したい土地が遠方にある場合、近くの法務局(本局)にも相談が可能です。
②申請書の作成・提出
審査手数料分の収入印紙を貼り付けた申請書を作成し、
所在する土地を管轄する法務局の本局の窓口に提出します。
郵送での申請も可能です。
③審査要件
法務大臣(法務局)において、提出された書面を審査し、
申請された土地の実地調査が行われます。
案内がないと申請された土地にたどり着けないなどの事情がある場合は、
承認申請者(又は承認申請者が指定する者)の同行が必要となる場合があります。
④承認・負担金の納付
審査を踏まえ、帰属の承認・不承認の判断の結果について、
承認申請者に通知が送付されます。
帰属が承認された場合、承認申請者は、通知に記載されている負担金額を
期限内(負担金の通知が到達した日の翌日から30日以内)に日本銀行へ納付します。
⑤国庫帰属
承認申請者が負担金を納付した時点で、土地の所有権が国に移転します。
所有権移転登記は国において実施されます。
(住所変更登記や相続登記がされていない場合、国が代位登記を行います。)
国庫に帰属した土地は、国が管理・処分します。
考えられるメリットとして
〇相続人などの負担軽減
不要な土地の管理や処分に困っていた相続人などの負担を軽減することができます。
〇所有者不明土地の発生防止
相続した土地が放置されることによる所有者不明土地の発生を防止し、
土地の有効活用を促進することができます。
〇社会全体の利益
土地の有効活用を通じて、地域の活性化や防災・減災に貢献することができます。
などがあります。
また考えられるデメリットとして
〇手続きの煩雑さ
申請手続きや必要な書類の準備など、手続きが煩雑になる可能性があります。
〇負担金の発生
土地の評価額に応じて負担金を納付する必要があります。
〇国庫への帰属までに時間がかかる場合がある
申請から承認まで、一定の時間がかかる場合があります。
などがあります。
相続土地国庫帰属制度は、まだ新しい制度であり、
その効果については今後検証していく必要があります。
しかし、所有者不明土地問題の解決に貢献し、
土地の有効活用を促進する上で重要な役割を果たすことが期待されています。
今後、制度の周知徹底や手続きの簡素化が進み、
より多くの人がこの制度を利用できるようになることが期待されます。
また、国庫に帰属した土地の活用方法についても、
様々な検討が行われることが予想されます。
相続土地国庫帰属制度は、個々のケースによって対応が異なります。
制度の利用を検討される場合は、法務局などにご相談ください。

