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コンサルタントコラム

杉本 博文

2021.06.20
「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」


デジタルの活用によりサービスや仕事の在り方を変革する、
デジタル・トランスフォーメーション。
行政のデジタル・トランスフォーメーションについても、
本年9月に設置されるデジタル庁の主導の下、取組が進められる予定です。


国税庁は、令和3年6月11日に
「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」を公表し、
「デジタルを活用した、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し」に
取り組んでいく方針を明確にしました。


政府の方針に基づき、
「利用者目線の徹底」、
「万全なセキュリティの確保」、
「業務改革(BPR)の徹底」
を基本的な指針としています。


「利用者目線の徹底」
デジタルに不慣れな方も含め、多様な利用者の意見に耳を傾けつつ、
「すぐ使えて」、「簡単」で、「便利」な行政サービスを提供し、
「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる」社会を目指します。


「万全なセキュリティの確保」
データの連携や分析に当たっては、
納税情報を含む守秘性の高いデータを扱うことから、セキュリティの確保に万全を期します。


「業務改革(BPR)の徹底」
既存の制度や業務を前提にそのデジタル化を図るのではなく、
デジタル化の利点を生かした業務改革(BPR)に取り組みます。
全ての業務の在り方や職員の働き方を不断に見直すとともに、
データの活用により課税・徴収を効率化・高度化し、
組織としてのパフォーマンスの最大化を目指します。


併せて、目指すべき将来像について、
「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」に向けた構想を示しています。


構想1:税務署に行かずにできる「確定申告(納付・還付)」(申告の簡便化)
確定申告に必要なデータ(給与や年金の収入金額、医療費の支払額など)を
申告データに自動で取り込むことにより、
数回のクリック・タップで申告が完了する仕組みの実現を目指します。


構想2:税務署に行かずにできる「申請・届出」(申請等の簡便化)
ワンスオンリー(一度提出した情報は、二度提出することは不要とする)を
徹底する観点から、申請や届出については、その要否を不断に見直します。
その上で、必要なものについては、入力事項を最少限にし、
数回のクリック・タップで手続が完了する仕組みの実現を目指します。


構想3:税務署に行かずにできる「特例適用状況の確認等」(自己情報のオンライン確認)
特例適用(青色承認、消費税簡易課税等)や納税(未納税額がない旨等)の状況については、
マイナポータルやe-Taxにより確認できる仕組みの実現を目指します。


構想4:税務署に行かずにできる「相談」 ①(チャットボットの充実等)
税務手続に関する不明な点は、オンラインで調べればすぐに解決できるよう、
チャットボットやタックスアンサーについて、内容の充実や使い勝手の向上を図っていきます。


構想5:税務署に行かずにできる「相談」 ②(プッシュ型の情報配信)
マイナポータルやe-Taxのお知らせを通じ、申告の要否や適用できる特例など、
個々の納税者の状況に応じた情報(カスタマイズ情報)をプッシュ型で提供する仕組みの実現を目指します。


平成31年1月からスマホ申告が始まりましたが、
残念ながら現状は、デジタルに不慣れな方が、「すぐ使えて」、「簡単」で、「便利」ではありません。
今後に期待し、私たちも変化に対応していきましょう。
 

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